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2-4

「ア、アルルゥっ!」

突然身体に感じた衝撃。
衝撃という程大きくは無かったけれど、何か小さなものが突然体当たりするかのごとく飛び込んできた。次いで感じたのは、何か温かく柔らかいものが身体に覆いかぶさるようにくっついている感触。
驚いて"それ"を見れば、ぴょこぴょこと動く大きな耳と自分をじっと見つめてくる、やはり大きな瞳。

「アルルゥ、何をしてるの! 失礼でしょう、すぐに離れなさい!」

エルルゥが慌てた声を上げるが、アマネにしがみつく小さな身体は一向に離れる気配はない。

「アルルゥっ!」
「やっ!」

とうとうエルルゥが怒り声を上げるが、アルルゥは「や~」、と言うばかりでその声に従おうとはしなかった。しかも益々、しがみつく力は強くなっていく。

「・・・・・どうやら、アルルゥはアマネに出て行って欲しく無い様じゃな」

驚いた様子でトゥスクルが呟いた。

「あの、アルルゥ・・・・?、離して貰いたいんだけれど」
「やっ!」

フルフルと首を振った少女はますますアマネにしがみつく力を強める。
どうすれば良いのだろうか、とトゥスクルに視線をやれば、困った様なけれど何処か面白がっている表情を浮かべている彼女と視線が合った。

「アルルゥ、とにかく離れなさい。そんなに強く掴んでは、アマネも苦しいじゃろうて」
「・・・・・・・・・・」
「大丈夫、アマネは出て行かんて。そうじゃろう」

その言葉に、今度はアマネが驚愕の表情を浮かべる番だった。

「トゥスクル様?」
「どうせ急ぐわけでも無いのじゃろうて。なら、暫くはここに留まっても問題無いじゃろう」

何を勝手な事を、と口に出しかけるがそれを言う前に、アルルゥがアマネの着ている服の裾をきゅっ、と引っ張った。

「・・・・お姉ちゃん、行かない?」
「え?」

大きなとび色の瞳が、まるで縋る様にアマネを見つめてくる。
それはアマネの中に、既に遠い過去となった思いを呼び起した。同じ様に、自分を見つめて、行かないでと縋る瞳を向けてきた存在を。

「・・・・・・・・・」
「行かない?」

"あの子"と同じ瞳。しかも"父"と同じ血を引く子供から、再びそんな目で見られる何て思ってもみなかったアマネには、ただ言葉を失いアルルゥを見つめ返すことしかできない。

「あ・・・・・・・」

何かを言おうとすればするほど、言葉は出てこず、喉をふるわせるだけだった。縋りついてくる瞳から目をそらしたいのに、そらせない。話す事も、拒絶する事も出来ないまま、ただその視線を受け止めるしか出来ないアマネの耳に、聞き馴染んだ声が聞こえてきた。

「良ければ、そうして貰えないか?」

「え?」、と顔を上げれば何時の間に入ってきたのか、ハクオロが苦笑を浮かべながら自分を見つめていた。

「急ぐ用事が無いのであれば、しばらくはいて貰えないだろうか。アルルゥも喜ぶしな」

「尤も、居候の私が言える事ではないのだがね」、と苦笑交じりに呟かれた言葉にアルルゥがぴょこぴょこと、更に激しく尻尾を振った。

「ん~、一緒。おと~さんも言ってる」

ぴょこぴょこと尻尾を振りながら、「一緒、みんな一緒」とアルルゥは呟いた。

「お父さん?」

その言葉に驚いて、アルルゥとハクオロを交互に見れば、ハクオロは少し困った様に頷き、アルルゥはにっこりと満面の笑みを浮かべながら「うん、アルルゥのお父さん♪」と答えた。
すとん、とその言葉がアマネの中にしみこんでいく。

父は、彼は記憶が無くとも自分の娘を見つけたのだ。
彼がずっと望んでいた存在を。
けれど、なら尚更自分が居るわけにはいかないのではないか、そう考えてアルルゥを離そうとすれば、その手をそっとトゥスクルが止めた。

「トゥスクル・・・・・様?」
「居てやって下さいませんか。そしてこの子達に、嘗て私が貴女から教わった事を教えてあげて下さい」

そっと呟かれた声はアマネの耳にしか届かない。

「それに、離れて見守るよりも近くに居た方が色々とやりやすいでしょう」

そう続けられれば、アマネにそれ以上返す言葉は無かった。
「解りました、しばらくお世話になります」、と続ければ「ん~♪」と、嬉しげにアルルゥがアマネに頭を摺り寄せてくる。
手触りの良い髪をすいてやりながら、「ずいぶん人懐っこい子なのですね」、と呟けば、何故か3人供困った様な笑みを浮かべたのだった。


【あとがき】
アルルゥにとって、エルルゥは母親代わりだけれど完全な母親にはなれてないんだと思います。
彼女は姉で、ライバルで何時までも自分と一緒にいられる存在ではない、という事を無意識にわかってるんじゃないかと。
アマネに懐くのは、やはり動物的直観とでも言いますか・・・ご都合主義と言いますか。まぁ、ハクオロを挟んだ時点で、エルルゥとはライバル関係になってしまっていますから、母親代わりとしてアマネになついたとでも思ってください。
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